【第4回】 受験のあとにも続いていく学びについて
受験は、多くの生徒にとって一つの大きな目標になります。志望校に合格することを目指して、限られた時間の中で問題を解き、苦手を克服し、少しずつ力を積み重ねていきます。
そして合格が決まると、ほっと一息つき、「これで勉強もひと段落」と感じる人も少なくありません。
けれど、実際には学びはそこで終わるわけではなく、その後もずっと続いていきます。
高校に進めば新しい内容が始まり、大学に進めばさらに専門的な学問を学び、社会に出れば、これまで経験したことのない問題にも出会います。
そのたびに、自分で考え、調べ、試行錯誤しながら乗り越えていくことになります。
振り返ってみると、学校で学んだ知識そのものよりも、「どうやって理解しようとしたか」「分からないことにどう向き合ったか」といった経験のほうが、後になって役に立っていると感じる場面が多いように思います。
実は私自身、20数年前に経営の勉強をしていた頃、「姿勢と形」という言葉を聞いたことがあります。
形として目に見える成果や結果ももちろん大切ですが、それ以上に、その人に残る姿勢のほうが長く影響する、という考え方でした。
受験で言えば、点数や合格は分かりやすい成果、いわば形です。そしてそれは、生徒や保護者の方にとって大切な目標でもあります。
だからこそ、目の前の試験や成績に対して、できる限り結果につながるよう指導したいと私は思っています。
その一方で、授業の中では、できるだけ自分で考える時間を残したいとも考えています。
すぐに答えを教えれば問題は解けますが、自分で悩み、試し、やり直しながら理解した経験のほうが、その後も長く残ることが多いからです。
そして、その「考える姿勢」や「分からないことに向き合う姿勢」が、受験が終わったあとも、どこかでその人の助けになることがあればいいな、と願っています。
もちろん、それが将来必ず役に立つと断言することはできません。
ただ、授業の中で積み重ねた経験が、あとになってどこかで生きることがあれば、それはとても嬉しいことだと思っています。
受験はゴールではなく、一つの通過点です。その先にも学びは続きます。
受験勉強を通して身についたものが、これから先の学びや生活の中で、静かに支えになっていくことを願いながら、日々の授業を続けています。
このシリーズが、受験や勉強を少し違った角度から眺めるきっかけになれば嬉しいです。